散歩は、街を一冊の本のように読むことだ。だから、スマホでの撮影は、読書感想を忘れないための、メモ書きみたいなものなのだ。この「スマホ散歩」を読んでくれた人が、それぞれの街を読書し始めたらとても嬉しい。何か楽しい風景に出会えることを願っている。
第70回 2026年3月2日
今気がついた!
連載という形式は、自分の年齢に回数を近づけていく作業なのだ。今回70回目。今年10月で自分の歳に連載が追いついた事になる。だからといってどうという事もないけれど。(笑)
さて、子どもの頃道路の自分の影が気になって、駆け出してもついてくる不気味さに泣いた事がある。だからかどうか、今でも夕陽が作る長い影が路面を占拠するとつい撮影してしまうし、「私がいる」という影の写真展を開いたりした。
最近は、道路標識の影に自分の頭を重ねて撮影している。三角の「止まれ」だとカマキリに見え、丸いと頭が膨脹したように見える。世の中が何やら不穏なので、頭が変化してしまった様にも見えてくる。(笑)

一度、自分の影が無くなる「ラハイナ・ヌーン」を経験してみたいけれど、自分の影が無くなると、大抵不幸になる不気味な物語ばかりだから、わざわざハワイまで行く気にはなれない。(笑)

はぎわら さくみ エッセイスト、映像作家、演出家、多摩美術大学名誉教授。1946年東京生まれ。祖父は詩人・萩原朔太郎、母は作家・萩原葉子。67年から70年まで、寺山修司主宰の演劇実験室・天井桟敷に在籍。76年「月刊ビックリハウス」創刊、編集長になる。主な著書に『思い出のなかの寺山修司』、『死んだら何を書いてもいいわ 母・萩原葉子との百八十六日』など多数。現在、萩原朔太郎記念・水と緑と詩のまち 前橋文学館の特別館長、金沢美術工芸大学客員名誉教授、、前橋市文化活動戦略顧問を務める。 2022年に、版画、写真、アーティストブックなどほぼ全ての作品が世田谷美術館に収蔵された。











