new 26.03.19 update 昭和 / 音楽

「そうだ京都に行こう」と聴く者を京都の旅へといざなってくれる京都歌謡のきわめつけと言えば、ベンチャーズ作曲による和風情緒あふれる大ヒット曲 渚 ゆう子「京都慕情」


 現在、NHK BSで放送中の京都人独自の美意識や価値観をドラマと京都の四季の行事や風習を紹介するドキュメンタリーで描く「京都人の密かな愉しみ Rouge-継承-」を観ながら、京都のご当地ソングと言えば何だろうと考えた。すぐ浮かんだのは「月はおぼろに 東山」と詠う「祇園小唄」だった。和田弘とマヒナスターズ&松尾和子の「お座敷小唄」、愛田健二の「京都の夜」、藤圭子の「京都から博多まで」、小柳ルミ子の「京のにわか雨」、都はるみの「千年の古都」に「古都逍遥」。そうだ、かぐや姫の「加茂の流れに」もあった。

 2015年に放送された「京都人の密かな愉しみ」第1シリーズでもデューク・エイセスが「京都 大原 三千院」と詠う「女ひとり」や、チェリッシュの「なのにあなたは京都へゆくの」なども挿入歌として使われている。作・演出を担当しているのは、現在大ヒット公開中の映画『木挽町のあだ討ち』の作・監督でもある源孝志。源作品では、ぼくが認識しているかぎり阿部海太郎が音楽を担当していると思われ、手がける音楽が、いずれの作品においてもドラマに趣を添えていることを感じさせてくれる。やはり源孝志が作・演出を手がけたNHK BSのプレミアムドラマ「令和元年版 牡丹燈籠 Beauty&Fear」の音楽では、時代劇にバロックのような西洋音楽を用いたところが意外性もあり、ドラマをある様式美のように美しく魅せてくれた。音楽は、映画やドラマにとって大切な要素だということを実感させられる。

 映画『木挽町のあだ討ち』ではエンディングに主題歌として椎名林檎の「人生は夢だらけ」をもってきたのも、物語からの自然な流れを感じさせられ、クレジット・ロールさえ惹きつけられ楽しめた。思わずニンマリしてしまった。

 そして、「京都人の密かな愉しみ」のエンディングテーマに使用されていたのが渚ゆう子が歌って大ヒットした「京都慕情」だった。エンディングで流れたとき、あれ、渚ゆう子の歌声ではないなと思ったら、歌っていたのは武田カオリという歌手だった。もちろん編曲もまったく新しいものになっていた。

 
 武田カオリは2023年には阿部海太郎と共に約10年にわたって制作されたアルバム『HOUSE』を発表しており、放送中の「京都人の密かな愉しみ Rouge-継承-」のエンディング曲「Mal Take Ebisu」も歌唱している。丸太町通、竹屋町通、夷(えびす)川通、二条通、押小路通、御池通と数え唄のように京都の東西の通り名がでてくる「丸竹夷(まるたけえびす)」というわらべ歌だ。毎シリーズのエンディングテーマは、作・演出の源孝志が決めているということだが、今シリーズの物語がパリから始まるので「この街で生まれて、この街で生きて、この街で死んでいく」という意味のフランス語の歌詞も入っている。第1シリーズでエンディング曲に「京都慕情」をもってきたのも、源孝志のアイデアであることがわかった。

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