舞台『汗が目に入っただけ』の脚本・演出は、一つの場所で巻き起こる事件や状況で笑わせる喜劇であるシチュエーションコメディを得意とするアガリスクエンターテイメントを主宰する冨坂友。近年は舞台のみならず、人気アイドルグループTravis Japanのメンバーである松田元太主演のテレビドラマ「人事の人見」の脚本も手がけ注目を集めている。2022年放送の監督も務めたワンカットの生放送ドラマ「生ドラ!東京は24時-シンガロング!-」では、ギャラクシー賞奨励賞 テレビ部門を受賞した。
大劇場から小劇場まで意欲的に観劇している鈴木保奈美は、2018年にアガリスクの舞台に出合い衝撃を受け、前述のドラマなどに出演し縁をつなぎ、2024年に自身初のコメディ舞台『逃奔政走』に出演し共に舞台をという願いを叶え、前段としてフジテレビで放送された〝生ドラ〟「東京は24時-Starting Over-」にも出演している。惚れ込んだだけあって、舞台の鈴木保奈美はいつにも増して、自由に芝居を謳歌しているようにうかがえた。

今作は脚本・演出を手がける冨坂が、自らの家族を取材して書き下ろしたという、いわゆる〝お葬式コメディ〟で、鈴木は、幽霊となった一家の成仏できない母親を演じる。葬式を控え、さまざまな登場人物により次から次へとノンストップの騒動が巻き起こる。まさに、シチュエーションコメディならではの笑いの渦が大旋回という趣である。ルシール・ボール主演の往年のアメリカの人気ドラマ「アイ・ラブ・ルーシー」で、シチュエーションコメディの面白味を知った身としては、大いに期待が高まるところだ。

騒動を巻き起こすいわくありげな人びとを演じる俳優陣たちも多彩だ。長男役にはお笑いコンビ・コロコロチキチキペッパーズの西野創人、長女役には、ドラマにとどまらず、バラエティ番組など、テレビを中心にマルチな活動を見せる足立梨花、次男役には、ミュージカル『テニスの王子様』をはじめ数々の2.5次元舞台で活躍し、映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』、テレビドラマ「仮面ライダーキバ」「弱虫ペダル」など映像作品での活躍もめざましい小越勇輝。

さらに、家族の騒動に巻き込まれてしまう訪問販売員には宝塚歌劇団花組男役トップスターとして人気を誇り、退団後も映像作品や舞台『TAKE FIVE』『シスター・アクト~天使にラビ・ソングを~』などで活躍する蘭寿とむ、鈴木の元夫役で、舞台『ウェイトレス』、「虎に翼」「豊臣兄弟!」はじめ多くの映像作品に出演し〝名バイプレイヤー〟と評価されている田中要次も出演する。

積極的な意見交換のなか、詳細かつ綿密な話し合いと確認で周到な笑いの場を生み出すべく稽古が続いているようだ。タイトルにつけられた〝エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)〟とは何を意味するのか、4月3日の初日に、全容が明らかにされる。まずは、届いた稽古場風景をご紹介する。
それにしても、近年、段田安則、高橋克実、林遣都と共演したアーサー・ミラーの『セールスマンの死』、天海祐希とアダム・クーパーの共演で話題を呼んだ『レディマクベス』のマクダフ役と、舞台出演に意欲を見せる鈴木保奈美だが、舞台の何が鈴木保奈美の俳優心を刺激するのか、今作の芝居で垣間見られるかもしれない。








