PHOTO MESSAGE ¿Como le va ? Vol.35 2018年4月1日号より

「劇場へ足を運んで観ていただく価値のあるクオリティ、そこに、映画人として緊張感を持って臨みます」
『不能犯』『娼年』に次いで2018年3本目となる映画『孤狼の血』。この映画は、深作欣二監督の『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』といった1970年代に製作された東映のお家芸とも言える「実録路線」の血脈に位置する映画で、暴力団同士の抗争とそれを阻止せんと立ち向かう警官との攻防劇が熱く展開されます。出演のオファーをいただいたとき、昨年『彼女がその名を知らない鳥たち』でご一緒した白石和彌監督とこんなに短い期間に再会できるという喜びが大きかったですね。その上バディ映画(註:主人公が二人一組で活躍するジャンルの映画)で、しかもバディのお相手が役所広司さん。『日本のいちばん長い日』以来の役所さんとも再会できる嬉しさがあり、自分がいままで触れたことがない刑事と暴力団という題材といい、興奮する要素満載で、断る理由なんてどこにもないと思いました。
これまで作品を作っている最中は、楽しいとか幸せだとか思う余裕があまりなく、完成した作品を見てさまざまなプロフェッショナルな人たちが集まって作り上げた作品の歯車に自分もなれたなという感覚を得られたときにはじめて、出られてよかったと思う感じでしたが、白石監督の撮影は、何が起るかわからないというのが楽しくて、驚きと緊張と興奮が一気に押し寄せてくるようなすごい現場の、そんな滅多に味わうことのできない空気感のなかに存在できて、すごく楽しかったなというような感覚を覚えました。
また、役所さんが主役として全員を包み込む現場での佇まいには大いに学ぶべきものを感じましたし、役所さんの傍で多くの時間を過ごさせていただけたことは僕にとって貴重な財産とも言える体験でした。日岡という今回の役には共感できる部分もあり、役が自身に近ければ近いほど自分が共感できるポイントを探りながら役を掘り下げ、どこか自分らしさというものを見つけて、表現しようと意識しますが、そういう意味では、日岡がバディである役所さん演じる大上に食らいついていくのと同様、僕自身も俳優として役所さんに食らいついていました。役所さんとバディを組んで一ヶ月以上、しかも地方ロケでずっと一緒にいさせていただけることって、この先にもそんなにあることではないと思うんです。同年代の俳優仲間に羨ましがられる体験ができたと自慢です。
作品をご覧になった方々から、新境地を拓いたと、お褒めの言葉をいただきましたが、俳優という仕事を始めて10年足らずなので、この先自分の思い通りの仕事をするためにも今はいろんなひきだしや扉を開けるということを大事にしている状況で、僕としては新境地が拓けたというより、この作品との出会いは30代になるためのこれ以上ないプレゼントのように思えます。
映画は劇場へ足を運んで観ていただかないことには始まりませんから、同じ映像作品でもテレビでは味わえないような、〝映画だからこそ〟という意味でのクオリティを持たせるという緊張感が僕にはあります。今回の作品は、東映映画のあの三角マークのロゴが映し出されるところから、劇場映画というものにどっぷり浸っていただける、必ずお釣りが返ってくる作品になっていると確信しています。
かつての「東映実録映画」の男たちのように、命を燃やす輝く男たちの生きる様を、僕と同じ若い世代の人たちにも感じとって欲しいと思っています。映画人の一人として誇りが持てるこの映画に参加できたことに感謝の気持でいっぱいです。








