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特集:植木等生誕100年企画 「お呼びでない?お呼びでない、ね。こりゃまた失礼しました!」と昭和を駆け抜けた無責任男・植木等の〝とっておき〟の話

 1993年6月、植木邸の庭で野良の子猫が二匹も生まれ、困りはてた長女・眞由美さんから、「もらってくれる人を紹介してほしい」との依頼が筆者のもとに届く。勝手に「スーちゃん」「ダラちゃん」と名付け、当てのある知人(斎藤誠氏の奥様)と共に、喜び勇んでお宅に駆けつけたことは言うまでもない。

▲植木邸でまたもやサインをねだる。右は舞台『シカゴ』サイン入りポートレイト(筆者提供)


「森田芳光監督の『ときめきに死す』見た? オレ全く理解できなかったんだけど、どうだった」
 これは『刑事あいうえ音頭』の撮影中に植木さんの口から出た言葉だが、この日も様々な日常会話を交わした。


 猫のことなどそっちのけで、いきなり植木さんが「僕は琴の若を応援してるんだけど、あんなにいい体しているのに、なんで勝てないんだろうねぇ」と、大相撲の話をし始めたのにはビックリ。よもや憧れの大スタアと、こんな話で盛り上がるとは!

 話題が出演作の『俺ら東京さ行ぐだ』に及んだとき、当人の口から出たのは、「林美智子さんは、近くに住んでいるんだよ」なる一言。
『東京物語』をオマージュしたと思しきこの松竹映画で、都会で働く息子(新藤栄作)を訪ねる老夫婦を共に演じた林美智子さんの家が、ここ砧にあったとは。

 そして、やにわに窓を開けた植木さんは「あそこが渡辺徹の家でね、こっちに中村雅俊が……」と、近所に住む有名人のお宅を次々と教えてくれ始める。
 そのとおり、砧は成城にも劣らぬ〈日本のビバリーヒルズ〉なのだが、広々とした庭の芝生や樹木が奇麗に刈り揃えられた植木邸は、どの豪邸にも全く見劣りしない。


 極めつけは、棚に入っていたLP『植木等 女の世界』(※3)に、「うわぁ、私、これだけは持ってないんですよ」と垂涎のまなざしを向ける筆者に、なんとも軽い調子で「それ、貸してあげるよ」とおっしゃったこと。
 いかに近所住まいとは言え、そんな展開になるとは! まさに「シビレ」た瞬間であった。

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