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特集:植木等生誕100年企画 「お呼びでない?お呼びでない、ね。こりゃまた失礼しました!」と昭和を駆け抜けた無責任男・植木等の〝とっておき〟の話

 1989年に始まったテレビドラマ『名古屋嫁入り物語』が大反響を呼び、シリーズ化。98年には最終作となる『名古屋嫁入り物語10』が製作された。
 これまたなんたる偶然か、東海テレビのプロデューサー・出原弘之さんと旧知の間柄にあった筆者は、撮影を見学する機会を得る。

 ロケ現場の八重洲富士屋ホテルに出向くと、植木さんはスタッフと打ち合わせの真っ最中。筆者の顔を見つけるや、「彼は僕の大変なファンでね。映画まで作って、ボクも引っ張り出されちゃったんだよ。ハッハッハ!」と、呵々大笑いの植木さんは、いきなり演出家に対し「彼に何か役をやってくれる? セリフも入れてね」と指示(強要と言うべきか?)を下す。
 誰も植木さんに逆らうことなど不可能。かくて、植木さんから直々に名古屋弁を伝授していただいた筆者は、ちゃっかり『刑事あいうえ音頭』以来の再共演(並びにテレビドラマデビュー)を果たすのだった。
『ニッポン無責任時代』の相手役・重山規子が出ていたら、「え~っ、無責任ねぇ!」と植木さんを責めたに違いない。

 
 当シリーズとのご縁は、これで終わりではなかった。
 同年11月、舞台版の『続名古屋嫁入り物語』が中日劇場で上演。やはり出原さんの奨めで、これを観劇した筆者は、図々しくも楽屋まで押しかけてしまったのだ。


 突然かつ不躾な訪問にもかかわらず、「よく来たねえ」と温かく迎えてくださった植木さん。この時期にはすでに肺気腫に冒され、体調も芳しくなかったはずだが、本当にありがたいことだった。
 その前の舞台『大江戸気まぐれ稼業』(96/明治座)も観たと伝えた筆者に、「どっちが面白かった?」と確認してくる姿勢は、まさに役者としての向上心の表れ。『名古屋嫁入り―』でのあまりの弾けっぷりに、ついこちらを挙げると、なんとも嬉しげな表情をされた植木さん。そのお顔は、今も瞼にしっかりと焼きついている。

▲楽屋でいただいた『名古屋嫁入り物語』テレホンカード&パンフレット掲載写真(筆者提供)

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