new 26.03.17 update 特集

特集:植木等生誕100年企画 「お呼びでない?お呼びでない、ね。こりゃまた失礼しました!」と昭和を駆け抜けた無責任男・植木等の〝とっておき〟の話

 植木さんの死後、三重県総合博物館『植木等と昭和の時代』や東洋大学での生誕90周年展示会などが開催。最後の付き人・藤元康史さんからは様々な話を伺った。
 その中で誠に遺憾に思ったのは、植木さんが国民栄誉賞の候補者に上がりながら、父親・植木徹誠さんの過去の行状(投獄経験)が災いし、実現に至らなかったことである。
 部落解放運動に関わった経験や、戦時中に戦争反対の信念を貫いたことは、植木等唯一の著『夢を食いつづけた男』(筑摩書房)に詳しいが、徹誠さんの行いは、今なら「ノーベル平和賞」もの。そして、言うべきことは言い、信念を貫き通すその姿勢は、「責任を持って無責任男を演じた」息子・植木等にしっかりと引き継がれている。

 筆者との対談で小松政夫さんは、「植木等の語り部」になることを宣言された。残念ながら小松さんはその年12月に亡くなり、それは続けられることなく今に至る。『今だから!植木等』に続いて、この度こうした原稿を発表させていただいたことで、少しでもそのご遺志を継いだことになれば嬉しく思う。
 ご逝去の日の夜、手を合わせに行かせていただいた植木邸跡地には、今や五軒もの家々が建ち並んでいる。

※1 自宅でパーティーを催す際には、ゲストにクローゼットからスーツを一着ずつプレゼントしていたという(斎藤誠氏談)。
※2こうした事例は、中村雅俊が自宅にまで赴き『夜逃げ屋本舗』出演を依頼したときにも発生。これはヤクザの親分役だったようだから、断られて当然か。
※3  71年発売の本アルバムには、もはやクレージーソングとは言えない「大人の歌謡曲」ばかりが収録。聴けば、植木さんが本当に歌いたかったのは、こうした楽曲だったのではないかと思えてくる。
※4 舞台の『王将』で大阪弁を喋るにあたっては、イントネーションを音符にして習得したという。

※5 ご本人の言によれば、意識したのはフランク・シナトラとのこと。
※6 このとき、ついでにうかがった「平泳ぎスタイルの振り付けを上手くこなす秘訣は?」への答えは、「滑りやすい靴を履きなさい」であった。
※7 楽屋では谷啓さんとの再会を喜ぶ中、大瀧詠一さんとも言葉を交わした。自主映画『刑事あいうえ音頭』について「ああいうことをしてはいけませんな」と苦言を呈された大瀧さんは、思ったとおりの人だった。


高田 雅彦(たかだ まさひこ)
1955年1月、山形市生まれ。生家が東宝映画封切館の株主だったことから、幼少時より東宝作品に親しむ。黒澤映画、クレージー映画、特撮作品には特に熱中。三船敏郎と植木等、ゴジラが三大アイドルとなる。東宝撮影所が近いという理由で選んだ成城大卒業後は、成城学園に勤務。ライフワークとして、東宝を中心とした日本映画研究を続ける。現在は、成城近辺の「ロケ地巡りツアー」講師や映画講座、映画文筆を中心に活動、クレージー・ソングの再現に注力するバンドマンでもある。著書に『成城映画散歩』(白桃書房)、『三船敏郎、この10本』(同)、『七人の侍 ロケ地の謎を探る』(アルファベータブックス)、近著として『今だから! 植木等』(同2022年1月刊)がある。



1 2 3 4 5 6 7

新着記事

  • 2026.03.17
    特集:植木等生誕100年企画 「お呼びでない?お呼...

    文=高田雅彦

  • 2026.03.17
    【南こうせつ】今もおいちゃんと親しまれ、喜寿を迎え...

    北海道で会いましょう!

  • 2026.03.16
    篠井英介に職業俳優の女方として生きていく覚悟を決め...

    東京・大阪公演

  • 2026.03.16
    ちょっと贅沢な箱根温泉の〝日帰り旅〟の一日は《箱根...

    応募〆切:5月10日(日)

  • 2026.03.16
    中村雅俊、秋野太作、田中健、岡田奈々「俺たちの旅」...

    追加公演決定!

  • 2026.03.13
    東京芸術劇場初代芸術監督 野田秀樹の公演活動を振り...

    3月24日(火)~31日(火)

  • 2026.03.13
    箱根〈彫刻の森美術館〉の新コレクション、草間彌生の...

    4月19日~11月1日

  • 2026.03.13
    【お出かけ情報】参加費無し、いつでも参加できる、縛...

    京成グループ沿線ウォーキング

  • 2026.03.12
    【お出かけ情報】心ときめく春のご褒美、ホテルのアフ...

    贅沢なお出かけ!

  • 2026.03.12
    美人薄命─昭和の歌姫・本田美奈子はデビュー曲の「殺...

    本田美奈子「殺意のバカンス」

映画は死なず

特集 special feature  »

今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松宗雄が語る誕生秘話〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松...

〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎ポートレートの美学

秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

あの人この人の、生前整理archives

あの人この人の、生前整理archives
読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial