new 26.02.16 update 連載

第33回【私を映画に連れてって!】永遠のゴジ「唯一無二の監督死す」追悼:長谷川和彦監督

 それからしばらくはゴジさんと会う機会は無く、1994年の日本映画監督協会新人賞で岩井俊二監督が受賞、その授賞式にぼくが参加し、たまたま理事の長谷川監督の挨拶の次に「この秋に『Love Letter』という映画で岩井監督が長編映画デビュー予定です……」と挨拶したことにより、初めてゴジさんと会話することになったのである(詳しくは第28回に)。

 それからでも30年以上が過ぎてしまった。100点を目指した脚本が、ゴジさん自らのハードルをより高くしてしまったこともある。振り返れば、『スワロウテイル』を作るためだけにフジテレビからポニーキャニオンに出向させてもらったが、その後10年以上にわたって、フジに戻らなかったのは『連合赤軍』の実現化にも理由があったと思う。GAGAに行く時も「ゴジ映画」の可能性を了解してもらって執行役員として行った。


▲『連合赤軍』のシナリオハンティングのため、軽井沢浅間山荘に向かう前の出陣式と思われる一枚。ゴジさんからは「当時のアイツらの気持ちを想像してみて……」というようなことを言われた記憶があるが、それは難しいことだった、と筆者(写真前列)。中央にトレードマークのサングラスをかけた長谷川和彦監督、左端には、長谷川監督のもとで5年間書生のような生活を送りつつ「ディレクターズ・カンパニー」に参加し映画を学んだ成島出。その後、日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した『八日目の蝉』をはじめ、『ふしぎな岬の物語』『いのちの停車場』『銀河鉄道の父』など多数の作品で監督を務める。「連合赤軍」では脚本を書かされていたという。その隣には『スワロウテイル』『フラガール』『ザ・マジックアワー』『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』『国宝』などの美術を手がけた、世界にも名を轟かせている映画美術の第一人者と言える種田陽平の顔も見える。


「連合赤軍」に始まり、そして「連合赤軍」は実現化することなくゴジさんは逝ってしまった。密葬での戒名(浄土真宗なので法名だが)の『護慈院釈和寶』は洒落が利いている。「ゴジin釈・和彦は宝」とか……ぼくの個人的な拡大解釈では「ゴジはクランクinしたかった。釈明します。でも和彦は宝でした」と。本当にゴジさんへの想いを貫いたパートナーの室井滋さんの気持ちも含んでいるなと。また、通夜、告別式を仕切った浄土真宗の住職は「連合赤軍」のスタッフで助監督の一人である。ぼくもサイゼリアで打ち合わせした時に「僧侶でもあります」というので「二刀流大丈夫?」と聞いた覚えがあるが、ここで登場するとは多少の驚きだった。法名は住職が付けられる。

 やんちゃで暴れん坊さは変わらず、ホームや病院でも止められている飲酒、喫煙を隠れて死ぬまで……という生活だったが、アルツハイマー、認知症、肺がんなど幾つもの病に抗いながら最後まで新作映画への情熱が途切れることはなかった。

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