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第34回【私を映画に連れてって!】配信作品は映画ではないのか? [映画]と[ネットフリックス作品]との境目

 もう一つは、製作費の問題である。最近はややマンネリ作品が多いHollywood映画だが、世界で唯一100億円以上の製作費で何本も映画を製作している、これは当初より100数十か国で上映することを前提に企画を決定しているからである。

 ただ、韓国の人口、マーケットを考えると、現在1本が平均5億円前後と言われているが、この製作費が限界であろう。韓国映画は100か国以上で上映できることは少ない。日本のマーケットは韓国より大きいが、600本以上の映画を創って(公開)いるので平均制作単価は1億円を切っていると言われている。

『パラサイト 半地下の家族』の製作費が13億円前後だが、5億円と10億円以上の映画の違いは撮影日数や、美術などに予算をかけられるかどうか。日本の『国宝』(2025)も10億円以上の製作費になる。

 製作会社からすると、仮に10億円の制作費で映画を完成させても、それから各国での展開、プロモ―ションの負担、ヒットしなかった時のダメージ等を考える……。Netflixでは世界同時に200か国近い国に、3億人近い観客が待ってくれているという見方もある。製作会社の負担は少ない。

 韓国のヒットメーカーたちがNetflixと組むことのメリットを感じ、数年契約で独占的にNetflixに作品を提供する……しかもこれまでの製作費をはるかに上回る条件を提示されたら……。

 相当数のヒットメーカーたちが、そちらへ行き、劇場映画メインのクリエーター陣が減ってしまったことも、劇場動員激減に繋がっているという。

 これは、ある意味では日本にも当てはまるかもしれない。一見、洋画不振、邦画絶好調と言われているが『鬼滅の刃』『チェンソーマン』などアニメの大ヒット作がなかったら実写映画は果たして好調と言えるのか……。

『新幹線大爆破』(2025/樋口真嗣監督)もNetflixオリジナルだが、配信作品である。世界中で上位のチャートを記録し、観られた人数としては、通常の劇場公開映画として製作されたよりもはるかに多くの人が鑑賞したであろう。そして日本でも一部の劇場で限定公開もされ、劇場映画として賞にノミネート出来る権利が与えられた。

 劇場映画『新幹線大爆破』(1975/佐藤純哉監督)をリブートしたのが樋口監督版であるが、前者は映画、後者は映画では無いのか……。

▲1975年7月5日公開の映画『新幹線大爆破』。監督は『人間の証明』『野性の証明』の佐藤純弥で、高倉健、千葉真一、東映映画初出演の宇津井健らが出演している。高倉健は、脚本に惚れ込んでの出演だったという。興収としては成功とはいえないが、キネマ旬報ベスト・テンの第7位に選出され、読者選出ではベストワンに輝くほど、作品への評価は高かった。フランスで8週間のロングランヒットを記録したのを皮切りに、世界各国で公開され、続々大ヒットを記録し、日本映画の興行記録を更新した。日本パニック映画の代名詞的作品という位置づけにもあり、今でも根強いファンがいる。

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