new 26.03.23 update エッセイ

第21回【帯津良一・90歳のときめき健康法】欲望なき生き甲斐

人生百年時代――とはいえ、老いさらばえて100歳を迎えたくはない。
健康で生気みなぎるような日々を過ごせてこそ、ナイス・エイジングだ!
西洋医学だけでなく東洋医学、ホメオパシー、代替医療まで、
人間を丸ごととらえるホリスティック医学でガン治療を諦めない医師、
帯津良一の養生訓は、「こころの深奥に〝ときめき〟あれ」と説く。


表紙の彼女とハグをしたい
文=帯津良一



 ある健康月刊誌にアロマセラピーの特集が組まれた。アロマセラピーは私の病院では開院当初から、代替医療の一つとして組み込まれ、ホリスティック医学が軌道に乗ってからはその一翼を担うようになった。だから、アロマセラピーに直接携わることはないが、親しみを感じていることは確かである。

 
 そのカラーの表紙に美女が写っているのである。精油の入った小瓶を右手に持って鼻孔の前にかざし、目をつぶって気持ちの良さそうな表情なのである。これだけで十分な色気なのに、殊更、鼻が好いのである。鼻筋が通っている上に外鼻孔がはっきりしているところがなんとも好いのである。すっかり気に入ってしまい、もう一ヶ月以上、仕事机の傍らに置いて、時々手にして眺めては悦に入っているのである。

 
 
 奇しくも、ちょうどこの雑誌が出たころ、私は90歳を迎えたのである。だからといって特別な感慨があるわけではない。生活の質は特に変わったわけではない。仕事はこれまで通り熟(こな)しているし、酒の量も、あきれるくらい40年間同じである。記憶力はそれ相当に落ちてはいるが、体力的にはそれほど落ちたとも思えない。

 
 酒は大好きで、死ぬその日まで飲みたいと思っている。ところが宵越しの銭は持たない私としては日銭を稼がなくてはならない。そのために早くから脳梗塞と下半身の衰えを防ぐべく気を配っては来た。脳梗塞に対しては、20年以上前から血液をさらさらにするナットウキナーゼを含むサプリメントを服用しているし、下半身のためには、筋肉の衰えを防ぐために良質の蛋白質である牛肉を摂るようにして、骨の脆弱化を防ぐためには昆布の出し汁をウイスキーのチェイサーとして常用している。

 一方、セックスに対する欲望はほとんど無くなった。朝も立たなくなった。だからと言って女性に対する関心が無くなったわけではない。セックスの代わりに、もっぱらハグをで楽しんでいるのだ。ハグについては前述したように、

「誰も居ない処で二人きりになったらハグしようか」

 と、約束している女性が院内に4人居る。3人が看護師さんで、一人が事務系の課長さんだ。

 
 一方、90歳になったら、死後の世界が急に親しみを増して来た。呼ばれたらいつでも飛んでいくつもりだ。それまでは毎日立ち働き、毎日酒を呑み、毎日ハグをしていくつもりだ。表紙の彼女とも何とかお会いして、ハグをしたいと思っている。これも生き甲斐の一つには違いない。


おびつ りょういち
1936年埼玉県川越市生まれ。東京大学医学部卒業、医学博士。東京大学医学部第三外科に入局し、その後、都立駒込病院外科医長などを経て、1982年、埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立。そして2004年には、池袋に統合医学の拠点、帯津三敬塾クリニックを開設現在に至る。日本ホリスティック医学協会名誉会長、日本ホメオパシー医学会理事長著書も「代替療法はなぜ効くのか?」「健康問答」「ホリスティック養生訓」など多数あり。その数は100冊を超える。現在も全国で講演活動を行っている。講演スケジュールなどは、https://www.obitsusankei.or.jp/をご覧ください。

 

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