26.01.15 update 昭和

第20回紅白歌合戦で、後半戦紅組トップバッターとして華麗な変身をとげ登場した1969年歌謡界の一番の話題曲 弘田三枝子「人形の家」

 弘田三枝子は、幼稚園のころFENのラジオに魅了され歌手になることを決意したという。さらに7歳のころには自らの意思でかまやつひろしの父であるジャズ・ミュージシャンのティーブ釜萢が開校した「日本ジャズ学校」に通い、英語の発音を基礎からスパルタ教育を受け、8歳から進駐軍キャンプで歌っていたと聞く。日本ジャズ学校は、日本初のジャズ学校とされ、ペギー葉山、ミッキー・カーチス、平尾昌晃などを育てている。

 61年に、東芝音楽工業から、「上を向いて歩こう」の項でも触れた草野浩二さんの担当のもと、〝和製ブレンダ・リー〟のキャッチフレーズを謳いヘレン・シャピロのカバー「子供ぢゃないの」(草野さんの実兄・漣健児訳詞)でデビューした。ブレンダ・リーは、60年代にロカビリー、ポップ、カントリー・ミュージックなどを歌いチャートのトップの常連の歌手で、身長が約145センチと小柄な体で57年にロック調に歌った「ダイナマイト」がヒットしたことで、〝リトル・ミス・ダイナマイト〟と呼ばれていた。65年に来日したときには、TBSで特別番組「ブレンダ・リー ショー」が放送され、弘田三枝子がゲストとして招かれ共演している。ちなみに司会と番組構成は、当時31歳の大橋巨泉だった。彼女が歌った「Rockin’ Around the Christmas Tree」は50年以上アメリカのクリスマスソングの定番となっていて、90年のヒット映画『ホーム・アローン』でも流れている。

 翌62年にはコニー・フランシスのカバ―曲「ヴァケーション」が各社競作でリリースされ、中尾ミエや伊東ゆかりらも歌ったが、弘田三枝子版が最大のヒットとなった。こちらも漣健児の訳詞である。同年のNHK紅白歌合戦にも当時紅組最年少で初出場を果たし、同曲を披露した。60年代に弘田三枝子がリリースしたのは、「悲しきハート」「ナポリは恋人」「夢見るシャンソン人形」などカバー曲が多かったが、63年、64年、65年と紅白には出場を続けている。

 また、田辺製薬(現・田辺三菱製薬)の「アスパラで生きぬこう」や、レナウンの「ワンサカ娘’64」などのテレビCMのコマーシャルソングも、本家超えの洋楽カバー同様〝ミコちゃん〟のパンチの効いた〝うなり〟歌唱で、今も記憶に残る。テレビアニメーション「ジャングル大帝」のエンディング曲である冨田勲作曲の「レオのうた」のスケールの大きな歌声も、当時子どもだったぼくには懐かしい。

 64年にはレコード会社を日本コロムビアに移籍したが、さしたるヒット曲に恵まれず、66年の紅白出場はかなわなかった。だが、67年にリリースした橋本淳作詞、筒美京平作・編曲の「渚のうわさ」がスマッシュヒットし、紅白に返り咲くが後が続かなかった。68年の紅白では再び憂き目をみることになった。歌番組などの表舞台からもしばらく鳴りを潜めることになる。

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