18.12.26 update 俳優 / 舞台

2019年ミュージカル『レベッカ』出演の山口祐一郎

PHOTO MESSAGE 2019年1月1日号より

2018年9月28日 都内ホテルにて
撮影:言美歩

音楽、詞、脚本……
すべてが一体となった
ミュージカル『レベッカ』に
俳優心がくすぐられています。

 2019年の仕事始めは、ミュージカル『レベッカ』です。


 この作品は、08年にシアタークリエ・オープニングシリーズを飾ったミュージカル公演第一弾で、10年には大劇場バージョンとして帝国劇場でも上演され、このたび、シアタークリエ開場10周年記念ラインナップの掉尾を飾る作品として3度目の上演となります。ダフネ・デュ・モーリアの同名の長編小説を原作とし、アルフレッド・ヒッチ コックにより映画化もされた作品なので、ご存じの方も多いと思います。


 同作をミュージカル・サスペンスとして再構築したのが、ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)と、シルヴェスター・リヴァイ(音楽・編曲)のヒットメーカー・コンビです。ミュージカル・ファンの方々にとっては『エリザベート』『マリー・アントワネット』『モーツァルト!』など、いわゆるウィーン・ミュージカルを手がけた2人としてお なじみですね。僕もいずれの作品にも出演させていただいています。


 『レベッカ』が僕のなかの俳優心をくすぐるのは、音楽、セリフ、脚本など、すべてが一体となった作品だということでしょうか。リーヴァイさんは、日本人なのじゃないかと思えるくらい、日本語に乗るメロディを書いてくださっています。上演される国によって、それぞれの言語で表現されるときに、いろんな問題が起きうることを事前に理解していらして、つまり、日本語という言語の特性とメロディとの間で苦しんでいる演者の気持がわかっているんです。

 多くの場合は、言葉の手直しで音楽に寄せるのですが、リーヴァイさんは「こうすればどうかな?」と秒数にしたらゼロに近いような微妙なスコアの手直しを即座にやってしまう。日本語で歌うのに手直しがベターであれば、いいじゃないかという感覚の持ち主なんです。だから、俳優も気持をのせて歌うことができ、お客様の耳にも心地良く響くんです。


 クンツェ&リーヴァイコンビのミュージカルは、その時代の2人の生き様そのものが反映されているすばらしい作品ばかりです。2人が心の底から大切にしている人類の多様性、寛容さというものを、音楽、詞、脚本に表現しているということを深く感じさせてくれます。

 
 今回は「わたし」の役がトリプルキャスト(大塚千弘、平野綾、桜井玲香)、ダンヴァース夫人がWキャスト(涼風真世、保坂知寿)ということで、向き合う相手によって、マキシム役の僕の演技も大きく変わります。俳優の組み合わせによって、6種類のマキシムをご覧いただけると言えるかもしれません。それは演者にとってのおもしろみであり、俳優の仕事を続けていける楽しさかもしれません。

 この仕事もけっこう長いことやっていて、さまざまな作品に出演させていただいています。長年舞台を見続けていただいているお客様から手紙をいただくことも多いのですが、僕が想像もしない視点で、作品の魅力を発見なさっていらして、そんなところも舞台ならではのおもしろさですね。幕が開くまでは、あらゆるパターンを想定しながらも、ポイント、ポイントで効果的に演じるには、なんて考えながら芝居を構築したりしますが、幕が上がると、『レベッカ』では、マキシムはこういう人物なんだということを一旦忘れて芝居をするようになりました。俳優と同じ空間を共有するという楽しみを知ったお客様と、〝劇場空間〟を共に過ごすことができているのだと、俳優としての幸せを感じています。


新着記事

  • 2026.03.19
    〈国立映画アーカイブ〉の最新技術が可能にした、知ら...

    「発掘された映画たち2026」

  • 2026.03.19
    第34回【私を映画に連れてって!】配信作品は映画で...

    文=河井真也

  • 2026.03.19
    【お出かけ情報】溜池山王~六本木一丁目のアークヒル...

    アークヒルズの桜が開花

  • 2026.03.19
    「そうだ京都に行こう」と聴く者を京都の旅へといざな...

    渚ゆうこ「京都慕情」

  • 2026.03.18
    芦ノ湖で「ワンちゃん専用のクルーズ」が特別運航!4...

    愛犬と一緒にクルーズ

  • 2026.03.18
    アメリカの国民的画家が再び三たびやって来る—「東京...

    応募〆切:4月23日(木)

  • 2026.03.17
    特集:植木等生誕100年企画 「お呼びでない?お呼...

    文=高田雅彦

  • 2026.03.17
    【南こうせつ】今もおいちゃんと親しまれ、喜寿を迎え...

    北海道で会いましょう!

  • 2026.03.16
    篠井英介に職業俳優の女方として生きていく覚悟を決め...

    東京・大阪公演

  • 2026.03.16
    ちょっと贅沢な箱根温泉の〝日帰り旅〟の一日は《箱根...

    応募〆切:5月10日(日)

映画は死なず

特集 special feature  »

今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松宗雄が語る誕生秘話〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松...

〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎ポートレートの美学

秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!