19.06.24 update 女優 / 舞台 / photomessage

ストレート・プレイ『MOTHERS AND SONS~母と息子~』に出演する原田美枝子


PHOTO MESSAGE  ¿Como le va ?Vol.40 2019年7月1日号より

原田美枝子(女優)
2019年6月4日 三軒茶屋 Bar Mにて
撮影=福山楡青


「心を動かされるすばらしい戯曲に めぐりあいました」

 昨年は新国立劇場の舞台『誤解』に出演させていただきましたが、今年もまた第68回トニー賞戯曲賞ノミネート作品であるテレンス・マクナリー原作のストレート・プレイ『MOTHERS AND SONS~母と息子~』(7/26~8/4 サンシャイン劇場)で舞台に立ちます。

 この作品は、本作の演出を務められる三ツ矢雄二さんが、性的マイノリティであるLGBTとは何なのかをより理解してもらうためにと立ち上げプロデュースなさる、優れたLGBTの戯曲を紹介するユニットLGBT THEATERの第一弾です。私は、一人息子をエイズで失い、夫にも死なれ、一人ぼっちになったキャサリンという役を演じます。

「息子はなぜエイズで亡くなったの? なぜ自分は孤独で、あなたたちは幸せなの?」と、息子の元恋人で、同性婚の相手と暮すゲイの男性を問い詰めていきます。


 まず、脚本が面白かったですね。読み進める中でどんな展開になるのだろうと、グイグイ物語に引き込まれていきました。私の年齢になると、面白いなと思える役に出会うチャンスというのが、段々少なくなってきます。優しいお母さん、認知症の妻、人生を卒業していくお婆さんというような役柄が多くなってきました。もちろんその役を楽しみなが ら一生懸命に演じています。

 でも女の人ってそういうことだけではなくて、人生を生きてきた面白さとか、深さとか苦しさだとか、いろいろとあると思うんですが、そんな役に会えそうで、実はあまり出会えていないんです。それをこの作品に見つけられたと感じました。

 それに、こんな戯曲は日本では書けない、書く作家がいないのではとも思えたんです。ゲイが物語の中では笑わせる道化的な役回りで描かれることが多く、特に日本ではシリアスな部分が描かれることはほとんどない。この物語はゲイの現実、真実に正面から向き合い、異性でも、同性でも人同士が知り合って、愛して、別れてということに何の違いもない、というところにたどり着けるのではないかと感じ心が動きました。

 昨年の『誤解』も、やはり戯曲の奥行きに惹かれてお引き受けしました。いろんな深さが面白く、それを手探りしながら一歩ずつ進んでいく、この暗闇に一体何があるんだろうという感じって好きです。

 舞台に関しては、経験値も少なく躊躇することもありますが、面白い脚本と出合うと、つい惹かれてしまうんですね。

 演劇で言えば第4幕というような人生の季節を迎えているなかで、だからこそ心が動く楽しいこと、やりたいことは全部やってみようという気持が、今回もこの舞台に向かわせているののだと思います。

 いつも同じようなことをやるのはつまらないという性分で、どこか新しさが感じられる知らないところに飛び込んでいくという傾向があるみたいです。失敗してもいいから新しいことをやってみたいと思うタイプなんですね。

 舞台はセリフは膨大だし、苦しいことも多いですが、生身の人間がそこにいるのを目撃するのは、観客にとっても舞台だからこその貴重な時間ではないでしょう。芝居の空気を共有する楽しさがありますね。こうしてまた舞台に立つのも、そんな魅力にとらわれた俳優の性(さが)なんでしょうか。

 とにかくすばらしい戯曲であることは自信をもってお伝えできます。あとは俳優としていかに存在していくのかを大事に考えて稽古を進めていきたいと思います。とても大人のいい芝居になる予感がしています。お見逃しなく。

新着記事

  • 2026.03.23
    鈴木保奈美が惚れ込んだアガリスクの冨坂友と再度タッ...

    鈴木保奈美が幽霊になる〝お葬式コメディ〟

  • 2026.03.23
    第21回【帯津良一・90歳のときめき健康法】欲望な...

    文=帯津良一

  • 2026.03.22
    フランスでロングランヒット『ママと神さまとシルヴィ...

    応募〆切:4月27日(月)

  • 2026.03.19
    〈国立映画アーカイブ〉の最新技術が可能にした、知ら...

    秀作や埋もれたフィルムが蘇る「発掘された映画たち2026」

  • 2026.03.19
    第34回【私を映画に連れてって!】配信作品は映画で...

    文=河井真也

  • 2026.03.19
    【お出かけ情報】溜池山王~六本木一丁目のアークヒル...

    2026年3月19日、アークヒルズの桜が開花

  • 2026.03.19
    「そうだ京都に行こう」と聴く者を京都の旅へといざな...

    渚ゆうこ「京都慕情」

  • 2026.03.18
    芦ノ湖で「ワンちゃん専用のクルーズ」が特別運航!4...

    愛犬と一緒にクルーズ

  • 2026.03.18
    アメリカの国民的画家が再び三たびやって来る—「東京...

    応募〆切:4月23日(木)

  • 2026.03.17
    特集:植木等生誕100年企画 「お呼びでない?お呼...

    文=高田雅彦

映画は死なず

特集 special feature  »

今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三屋清左衛門残日録」~時代劇にはまだまだ未来がある~

今、時代劇が熱い! 第三弾 主演北大路欣也が語る「三...

藤沢周平原作時代劇「三屋清左衛門残目録」の章

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松宗雄が語る誕生秘話〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

松田聖子デビューから45年、伝説のプロデューサー若松...

〈わが昭和歌謡はドーナツ盤〉特別企画

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いなる遺産

VIVA! CINEMA 愛すべき映画人たちの大いな...

「逝ける映画人を偲んで2021-2022」文=米谷紳之介

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

放浪の画家「山下 清の世界」を今。

「放浪の虫」の因って来たるところ 文=大竹昭子

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「名匠・小津安二郎」の生誕120年、没後60年に想う

「いい顔」と「いい顔」が醸す小津映画の後味 文=米谷紳之介

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

人はなぜ「佐伯祐三」に惹かれるのか

わが母とともに、祐三のパリへ  文=太田治子

ユーミン、半世紀の音楽旅

ユーミン、半世紀の音楽旅

いつもユーミンが流れていた 文=有吉玉青

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、展覧会「萩原朔太郎大全」の旅 

没後80年、「詩人・萩原朔太郎」を吟遊す 全国縦断、...

言葉の素顔とは?「萩原朔太郎大全」の試み。文=萩原朔美

喜劇の人 森繁久彌

喜劇の人 森繁久彌

戦後昭和を元気にした<社長シリーズ>と<駅前シリーズ>

映画俳優 三船敏郎

映画俳優 三船敏郎

戦後映画最大のスター〝世界のミフネ〟

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の流行歌 

「昭和歌謡アルバム」~プロマイドから流れくる思い出の...

第一弾 天地真理、安達明、久保浩、美樹克彦、あべ静江

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・木下惠介のこと

故・大林宣彦が書き遺した、『二十四の瞳』の映画監督・...

「つつましく生きる庶民の情感」を映像にした49作品

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監督の信念

仲代達矢を映画俳優として確立させた、名匠・小林正樹監...

「人間の條件」「怪談」「切腹」等全22作の根幹とは

挑戦し続ける劇団四季

挑戦し続ける劇団四季

時代を先取りする日本エンタテインメント界のトップランナー

御存知! 東映時代劇

御存知! 東映時代劇

みんなが拍手を送った勧善懲悪劇 

寅さんがいる風景

寅さんがいる風景

やっぱり庶民のヒーローが懐かしい

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

アート界のレジェンド 横尾忠則の仕事

60年以上にわたる創造の全貌

東京日本橋浜町 明治座

東京日本橋浜町 明治座

江戸薫る 芝居小屋の風情を今に

「芸術座」という血統

「芸術座」という血統

シアタークリエへ

「花椿」の贈り物

「花椿」の贈り物

リッチにスマートに、そしてモダンに

俳優たちの聖地「帝国劇場」

俳優たちの聖地「帝国劇場」

演劇史に残る数々の名作生んだ百年のロマン 文=山川静夫

秋山庄太郎ポートレートの美学

秋山庄太郎ポートレートの美学

美しきをより美しく

久世光彦のテレビ

久世光彦のテレビ

昭和の匂いを愛し、 テレビと遊んだ男

加山雄三80歳、未だ青春

加山雄三80歳、未だ青春

4年前、初めて人生を激白した若大将

昭和は遠くなりにけり

昭和は遠くなりにけり

北島寛の写真で蘇る団塊世代の子どもたち

西城秀樹 青春のアルバム

西城秀樹 青春のアルバム

スタジアムが似合う男とともに過ごした時間

「舟木一夫」という青春

「舟木一夫」という青春

「高校三年生」から 55年目の「大石内蔵助」へ

川喜多長政 &かしこ映画の青春

川喜多長政 &かしこ映画の青春

国際的映画人のたたずまい

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

ある夫婦の肖像、新藤兼人と乙羽信子

監督と女優の二人三脚の映画人生

中原淳一的なる「美」の深遠

中原淳一的なる「美」の深遠

昭和の少女たちを憧れさせた中原淳一の世界

向田邦子の散歩道

向田邦子の散歩道

「昭和の姉」とすごした風景

読者の声
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
error: Content is protected !!