PHOTO MESSAGE ¿Como le va ? Vol.14 2014年4月1日号より
2012 年に放送された「ダブルフェイス」はTBSとWOWOWとの2局共同制作という画期的な試みによるスケールの大きなドラマでした。そしてこの4月(2014年)から同じくTBSとWOWOWの共同制作による連続ドラマ「MOZU」は、「Season1 ~百舌の叫ぶ夜~」(TBS木曜ドラマ劇場)、「Season2~幻の翼~」(WOWOW)を放送)されます。
連続ドラマですが気分としては大きな映画を撮っているような、僕のキャリアの中でもいままでにないスケール感のドラマです。「ダブルフェイス」を手がけた羽住英一郎監督が一人で全話を撮るという前代未聞の偉業をやるというので、僕の代表作の一つだと認識している「ダブルフェイス」を超える作品にする覚悟をもって、また、日本のみならず世界でも多くの人に楽しんでもらえる作品にしたいと、文字通り命がけで臨みました。
撮影に入るにあたり、ここ数年は事前に役作りを徹底的にやりたいという欲望が強くなり、体重の変化から資料集め、やってもやらなくても変わらないかもしれないと思える小さなことでも、思いついたことは全てやろうと決めていて、以前より事前の準備に費やす時間と作業が増えました。
今回はアクションが大きな見どころの一つなのですが、アクション監督とも話し合い、スポーティなアクションではなく本当の重いアクションを実践しています。投げられる場合、投げられる人もアクションシグナルを感じて投げられる手伝いをするのですが、今回はむしろ投げられないように踏ん張る人を力ずくで投げる。やられる側が一切手伝わない、抵抗するというアクションです。殴ったり蹴ったりするのも当てないと重くならないので基本的に当てる。殴るのも思い切り力を込めた渾身のパンチにする。
共演の役者さんたちも尊敬する大先輩の方たちでアクションシーンは正直緊張するのですが、精神的にも肉体的にもタフな方ばかりで遠慮なく全力でやらせていただきました。羽住監督が求める映像のレベルが一通りではない高さで、それを実現させるために撮影クルーたちはこれでもかとアイデアを出してくる。監督を含めてそのエネルギーたるや尋常ではない。
最初に会ったとき、「苦しいとかプレッシャーが大好き」と僕が言うと、「俺たちのほうがもっと好きなんだ」と言って、実際その通りの恐ろしいスタッフでした(笑)。いい作品を作るとか、いいドラマを作るというようなレベルではない。何、バカなことを言っているんだというようなとんでもなく高いところを狙っています。
常軌を逸した毎日倒れそうな撮影が何ヶ月も続いていますが、作品にかける情熱が結集した充実した現場時間です。僕が今求めているのは、苦しい現場です。ワンカット一つにしても精神的にも肉体的にも死に物狂いで撮るのでなければ、いいカットは撮れないと思っています。何となくいいカットというのはないと思います。
「MOZU」の現場には、正直僕もタジタジになるくらい辛い撮影を求める、狂気じみたエネルギーが満ちていました。本気のアクションといい、俳優同士(共演は香川照之、真木よう子、生瀬勝久、吉田鋼太郎、伊藤淳史、有村架純、池松壮亮、長谷川博己、石田ゆり子、小日向文世ほか)の本気の演技の火花の散らしあいといい、「MOZU」は今まで経験したことのない集大成です。
最も過酷な撮影で、そして一番の代表作になると思っています。