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特集:植木等生誕100年企画 「お呼びでない?お呼びでない、ね。こりゃまた失礼しました!」と昭和を駆け抜けた無責任男・植木等の〝とっておき〟の話

 ほとんどのコモレバ読者の方はご存じないだろうが、『刑事あいうえ音頭』という8ミリ映画が存在する。のちに小中理論を掲げ、ホラー映画やウルトラ・シリーズの脚本を担当する小中千昭が監督を務めたこの映画、1984年に都内で何度か公開され、翌85年に池袋文芸坐ル・ピリエ「イキナリチャンピオン祭り」で河崎実監督の『イキナリ若大将』と同時上映されたくらいで、その後40年、一切日の目を見ていない、言わば幻の作品である。

 
 誠にちっぽけなミュージカル映画ながら、この作品が音楽家の間でそこそこ知られているのは、当時の有名ミュージシャンが大挙出演しただけでなく、クレージーキャッツの植木等が出演しているからだ。
 この当時、植木等は浅草東宝で行われる「クレージー映画」オールナイトで大変なリバイバル人気を集めていた。そんな中、斎藤誠(青山学院大出身で、当時は新進気鋭の音楽家)と筆者が多くの音楽家に声をかけ、植木等並びにクレージーキャッツへのオマージュを込めて企画したのが、自主製作映画『刑事あいうえ音頭』であった。

 
 そのとき判ったのは、我が国で所謂「クレージーソング」の洗礼を受けていない音楽家など皆無であること。誰もが植木等に強い憧れと敬意を持っており、結果として世良譲、東郷輝久、向井滋春、渡辺香津美、山岸潤史、永井充男、ジョニー吉永といったジャズ&ロック系の大御所から、爆風スランプ、タンゴ・ヨーロッパなどの若手バンド、さらには桑田佳祐やザ・リリーズに至るまで、全員ノーギャラ出演を快諾。遂には本家本元の谷啓、そして植木等まで出演を果たすという、奇跡を呼ぶこととなった。

 
 この度、植木等生誕百年を機に「誰も知らない植木等秘話」を、とのご依頼であれば、この〝幻の植木等出演映画〟について語らないわけにはいかない。

▲筆者が〝クレージー=植木等愛〟を炸裂させて作った自主映画『刑事あいうえ音頭』フライヤーと、のちにつくったサントラCDジャケット


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